世界があと1か月で終わるとしたら、
あなたは何を思い、どう過ごしますか。
本記事では、世界の終末を描いた凪良ゆう著『滅びの前のシャングリラ』を紹介します。
- 『滅びの前のシャングリラ』どんな物語?
- 『滅びの前のシャングリラ』魅力は?
- 人生に疲れたとき、この本がなぜ心に寄り添うのか
『滅びの前のシャングリラ』あらすじ
地球滅亡まで残り1か月。
学校でいじめを受ける少年、
人を殺したヤクザ、
子どもを守るため恋人から逃げたシングルマザー。
それぞれがうまく生きられなかった過去を抱えながら、最期に何を願い、何を選ぶのかを描いた物語です。
この本の魅力
心に闇を抱えた登場人物たち
登場人物たちは、それぞれ形の違う闇を抱えています。
いじめや殺人といった重い過去を背負いながらも、そこに至る心の揺れは、誰しも思い当たるものがあります。
彼らは特別な存在ではなく、年齢も立場も異なる、どこにでもいるうまく生きられなかった人たち。
だからこそ、読者はそれぞれの姿に、自分の影を重ねることができます。
人は極限で何を選ぶのか
世界滅亡が迫る中、盗みや暴力が日常化していき、法や秩序から解き放たれた人間は、もはや私たちが知る姿とは異なります。
人を轢き殺してしまっても、やがて何も感じなくなっていくほど、心は少しずつ壊れていきます。 人は予想以上に脆い存在なのだと、思い知らされます。
しかし、そんな極限の状況だからこそ、余計なものがすべて剥がれ落ち、人は本当に守りたいものだけを選び取るようになります。
その選択を見つめると、自分にとって大事なものが静かに浮かび上がってきます。
人生に疲れたときに寄り添う物語
登場人物たちは皆、人生のどこかで希望を失い、うまく生きられなかった人々です。
生への執着が薄い彼らが、世界の終わりを前にして
「もう少し生きたい」と願う姿は、切なく胸に残ります。
極限の状況に追い込まれて初めて、人は自分の中にまだ消えていない「生きたい気持ち」に気づくのかもしれません。
人生に疲れたとき、その静かな願いが、自分の中にも残っていることを思い出させてくれます。
タイトルの意味とは?
読み終えて、タイトルの「シャングリラ」とは何を指すのかが気になり、調べてみました。
シャングリラは、イギリスの作家ジェームズ・ヒルトンの小説『失われた地平線』に登場する理想郷の名称だそうです。
世界の終わりを前に、人々が最後に求める救いや心の拠りどころを象徴する言葉として、この作品のタイトルに置かれているのだと感じました。
タイトルの意味を改めて考えると、作中に登場する新興宗教の存在も違った姿で見えてきます。
人が拠り所とするものはそれぞれであり、家族や恋人、仕事、宗教、そのどれもが、その人にとっての「シャングリラ」になり得るのだと思います。
価値観が揺らぐ今こそ読みたい
価値観が多様化し、幸せの形も人それぞれになった現代。
選択肢が増え、自由になった一方で、「自分とは何か」という根本的な悩みはむしろ尽きることがありません。
その中で、「自分にとって本当に大切なものは何か」は揺らぎやすくなっています。
本作では、世界の消滅を目前にした人々が、それぞれの価値観をもう一度見つめ直します。
「もし世界が滅亡するとしたら、自分はどうするか」
その問いを物語とともに辿ることで、
自分の価値観を再確認できる一冊でした。
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