恋がはじまる春に。『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』がはまる理由

小説

出会いと別れの春。

毎日少しずつ暖かくなり、気持ちも明るく前向きになりますよね。
こんな時期には、恋の本が読みたくなります。

今日は、恋を少し忘れてしまった大人にこそ読んでほしい、
春にぴったりの一冊を紹介します。

本の情報

  • タイトル:試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。
  • 著者:尾形真理子
  • 出版社:幻冬舎文庫
あらすじ

渋谷の路地裏にあるセレクトショップ「Closet」。
そこに訪れるのは、恋に悩む5人の女性たち。 片思い、不倫、終わった恋。揺れる気持ちを抱えながら、 彼女たちは自分に似合う一着を探します。

服を選び、店を出るその瞬間、
彼女たちはまた一歩、自分の未来へ進んでいくのです。

本のおすすめポイント4つ

タイトルが秀逸

『悪い女ほど、清楚な服が良く似合う。』

『可愛くなりたいって思うのは、ひとりぼっちじゃないってこと。』

『好きは、片思い、似合うは両想い。』

どれも、この本に収められた短編のタイトルです。
どうでしょう、すでに内容が気になってしまいませんか。
私は、タイトルを見ただけで読みたくてうずうずするほど、強く惹きつけられました。

著者が広告会社出身というのも納得で、
人の心をつかむ言葉選びが随所に光っています。
タイトルだけで物語の空気をつくってしまう、そのセンスに何度も唸らされました。

大人も恋を楽しめる

結婚や出産、時には不倫など、楽しいばかりではいられなくなる大人の恋愛
そして、気づけば相手の条件ばかりが目に入り、
まるで就活みたいに出会いを探してしまうことがありますよね。

でも、たとえ始まりが条件でもいい。
誰かを好きになれること自体が、もう十分に幸せなんだと気づかせてくれました。

この短編集は、忘れかけていた恋の喜びを思い出させてくれる物語です。

服がくれる自分

この本を読むと、服を選ぶ時間が少し特別なものに変わります。
普段は機能性ばかりを重視してしまうけれど、
物語の女の子たちを見ていると、
「身につけるもの一つで、こんなにも気持ちは変わるんだ」と思わされます。

自信が服に表れて、服が自信を与えてくれる。
モデルのような体型でなくても、自分の身体を少し好きになれる気がしました。

どんな生活にもすっと馴染む一冊

この本は5つの短編で構成されています。
どれも15分ほどで読み切れる長さで、移動時間や隙間時間にぴったり。

そして、文体もとても読みやすく、難しい言葉もほとんど使われていないので、
流れるように読み進められます。

それぞれのライフスタイルの中で、ちょうどよい時に読める、そんな一冊です。

さいごに

本の中で心に残った1節は「実らなかった恋にも、ちゃんと実ができている。」という言葉でした。

結ばれることのなかった恋にも、ちゃんと意味がある。
人を好きになったという経験は、静かに自分の中に残り続けるのだと思います。

身につけるもの一つで、気持ちは少し変わる。
その小さな心の変化が、やがて未来を静かに動かしていくのかもしれません。

恋に前向きになれない日も、誰かを好きになる勇気が出ない日も、
この本はそっと灯りをともしてくれるはずです。

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