はじめに
スーパーで卵が300円を超えているのを見たり、給料明細の控除額に驚愕したとき、
「このままでは生きていけなくなるのでは…」という不安が押し寄せてきます。
そんな不安に駆られ、ついつい資産運用や節約の本ばかりに手が伸びる日々。
でも、難しい言葉が並ぶ本には、少し疲れてしまうこともあります。
それでも、お金のことを考えないと、逆にもっと不安になってしまう。
そんなときに、ぴったりの一冊を見つけたのでご紹介させてください。
書籍情報
- タイトル:三千円の使いかた
- 著者:原田ひ香
- 出版社:中央公論新社(中公文庫)
- 発売日:2021年8月20日
- ページ数:352ページ
あらすじ
『三千円の使いかた』の舞台は、東京都北区・十条。
昔ながらの商店街が残る、どこか懐かしくて生活感あふれる街です。
この町に暮らす御厨(みくりや)家の三世代4人の女性たちが、
それぞれの立場から「お金」と「人生」に向き合っていく物語が展開されます。
この本の魅力
誰かのお金事情をそっと覗く
お金の話には、どこかタブーのような雰囲気が漂っています。
友達との会話で、「貯金どれくらいある?」「年収何円?」
なんて、気軽に聞ける人はあまり多くないのではないかと思います。
私も、とてもじゃないけれど聞けません。
でも、本当は誰もが気になっているのではないでしょうか。
この本では、そんな“誰かのお金事情”を、のぞくことができます。
登場するのは、会社員の独身女性、幼い子どもを育てる専業主婦、子どもが独立した女性、年金で暮らす高齢女性など、人生のステージがそれぞれ異なる人たち。
彼女たちがどんなお金の悩みを抱え、どう日々を生きているのかが描かれています。
お金の悩みは、ただの数字ではなく、生き方そのものに結びついている――そんな気づきを、この本はそっと教えてくれます。
登場人物たちの等身大の悩みに触れることで、人生とお金について、また前向きに向き合う元気がもらえるように思います。
会話の中で、ふと知るお金の知識
本の中には、
「複利」「投資信託」「iDeCo」など、お金にまつわる言葉も多く登場します。
でもそれは、実用書のように“教えられる”ものではなく、
あくまで登場人物たちの会話の中で、さりげなく出てくるのが魅力です。
まるで友達との雑談の中で、自然と知識が増えていくような感覚。
だからこそ、構えずに読み進めることができます。
仕事終わりに、「よし、勉強するぞ!」と気合いを入れて分厚い本を開くのはつらい時もありますよね。勉強しなきゃと思いながらも、ついSNSをなんとなく眺めてしまう…
そんなとき、この本を開いて、登場人物たちの会話に耳を傾けてみませんか。
きっと、お金と人生について考える、やさしい入口になってくれるはずです。
さいごに
物価高のニュースを見るたびに、「このままで本当に大丈夫なのだろうか」と、不安になることが増えました。何かできることはないかと、いろいろな本に手を伸ばす日々が続いています。
けれど、お金の不安ばかりを抱えていては、人生そのものがもったいないような気もします。
たくさんお金を貯めていても、いつ終わりが訪れるかは誰にもわかりません。
お金のことをきちんと考えながらも、やりたいこともあきらめずに過ごしていく、
そのバランスをとるのは、やっぱり難しいですね…