夜でも読める ちょっと不思議な 江戸川乱歩の短編5選

小説

年に何度かテレビで放送される『世にも奇妙な物語』には、いろいろなタイプの話がありますよね。その中でも私は、ホラーかと思いきや肩すかしを食らうような、不思議寄りの話が特に好きです。

がっつり怖い話は夜に見ると後悔してしまうのですが、
空想と現実が混ざりあうような物語には、怖さよりも惹かれるものがあります。
自分の空想もこんなふうに現実になれば」と、つい想像してしまうようなあの感じ。

今日は、そんな『世にも奇妙な物語』に出てきそうな不思議さをまとった、江戸川乱歩の短編を個人的お気に入りのランキング形式で5つ紹介します。

奇妙でお気に入り5選

  • 一人二役
  • 盗難
  • 木馬は廻る
  • 押絵と旅する男
  • 鏡地獄

各作品のひとこと紹介

一人二役|夫の暴走が招く奇妙な展開

怖さ☆☆☆☆☆:怖さゼロ

男Tが妻に仕掛けた、ほんの出来心の小さな芝居。
ところがそれが思わぬ方向へ転がりはじめ、T自身も収拾がつかなくなっていきます。
コミカルテンポよく、Tの曲者ぶりもどこか憎めず、私はむしろ彼の暴走を楽しんでしまいました。
乱歩にこんな軽やかで笑える作品もあるんですね。

盗難|事件の裏に潜む思惑

怖さ☆☆☆☆☆:怖さゼロ

小さな盗難事件を追ううちに、主人公は誰かの企みに気づき始めます。
しかし、集めた手がかりはどれも噛み合わず、真相は近いようでいてつかめません。
次第に登場人物の誰もが怪しく見えはじめ、読み進めるほど推理の面白さが増していく。
最後に訪れるどんでん返しは、あとからじわじわ効いてくる意外さでした。

木馬は廻る|淡く揺れる幻想

怖さ☆☆☆☆☆:怖くはない

苦しい生活を送る初老の男と、同じく貧しい少女の交流を描いた物語。
遊園地という舞台も相まって、どこか夢の中を歩いているような不確かさが漂います。
読み終えたあと、物語の先でふたりがそれぞれどんな人生を歩んでいくのか、つい想像してしまいました。

押絵と旅する男|不気味な押絵と男

怖さ★☆☆☆☆:不気味さあり

旅先で出会った男が語る、押絵にまつわる奇妙な出来事。
語り手の言葉はどこまでが真実なのか判然としないまま、読者は電車という閉ざされた空間から、いつの間にか異界へ踏み込んでいく。
主人公はただ電車に座っているだけなのに、物語の奥行きがどんどん広がっていく感覚が印象的でした。

鏡地獄|鏡に魅せられた男の狂気

怖さ★★☆☆☆:人間の狂気

に魅せられた男が、次第にその世界に囚われていく物語。
鏡を覗くたびに彼の心は少しずつ歪み、現実と幻想の境目が静かに崩れていく。
狂気幻想が入り混じる描写が、美しくもどこか人間的な怖さを残し、読後にはひんやりとした余韻が漂いました。

どこで読める?

ここで紹介した5作品は、すべて青空文庫で読むことができます。
完全無料で読めるので、お試しで読んでみるのもよいですね。

本は紙派という方や、どっぷり乱歩の世界に浸りたい方は、光文社の江戸川乱歩全集(全30巻)もおすすめです。

『一人二役』『盗難』は第1巻、『木馬は廻る』『鏡地獄』は第3巻、『押絵と旅する男』は第5巻に収録されています。

ぜひ乱歩の不思議な世界を楽しんでみてください。


タイトルとURLをコピーしました